“食の嗜好の本質は郷愁なのだ。幼い頃の食習慣と、逆にめったに食べられなかったものへの憧憬が、おとなになってからの食の嗜好を形成する。”
(津原 泰水著 埋葬虫より)
先日読んだ小説に、このようなくだりがありました。
主人公が食にこだわりがあるというくらいで、この小説自体は食とはほとんど無縁な内容の怪奇(?)小説なのですが、なぜかこのくだりが、私にとっては小説の内容よりも印象的でした。
そして印象的であると同時に、連想したのが、最近いたるところで耳にする“食育”ということばです。
元々この食育ということばは、
“明治31年(1898年)石塚左玄が「通俗食物養生法」というほんの中で「今日、学童を持つ人は、体育も智育も才育もすべて食育にあると認識すべき。」 と、明治36年(1903年)には報知新聞編集長であった村井弦斎が、連載していた人気小説「食道楽」の中で「小児には徳育よりも、智育よりも、体育より も、食育がさき。体育、徳育の根元も食育にある。」と記述しています。最近、「食育」という言葉が改めて広く聞かれるようになりましたが、そのルーツは大 変古い物です。”(食育・食生活指針の情報センターのHPより)で、
さらに、最近は子供だけでなく成人も含めた
“国民一人一人が、生涯を通じた健全な食生活の実現、食文化の継承、健康の確保等が図れるよう、自らの食について考える習慣や食に関する様々な知識と食を選択する判断力を楽しく身に付けるための学習等の取組みを指します。”(食育・食生活指針の情報センターのHPより)
ということだそうです。
こうしてみると、やはり子供の頃に築かれた食生活が如何に大切なものか、そして終生、自分の身体作りに大きく影響してくるものなのだということがわかります。
生きものとして、絶対に欠かせないのが食。
あたりまえですが、生命の礎なのです。
あらためて、幼少期の食生活、食習慣をもっと重んじ、自分自身食に携わるものとして、しっかりと考えて行きたいなと思いました。
思わぬところから思わぬことを学ばせてもらいました。
興味のある方は是非。
といってもこの小説、タイトルから想像付くようにストーリー自体は、ちょっとグロテスクですが・・・(苦笑)。
PR